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ADMRコラム110 「予防」は気づかれにくい
先日「予防整備」をテーマに動画を撮影した。下にリンクを貼ったので、詳しくはぜひ一度動画をご覧いただきたいのだが、自動車整備士は日頃から予防整備をしている。車検はもちろん、点検の多くは、クルマが壊れないように事前に整備をしている。それを「予防整備」と呼ぶのだそうだ。
この撮影後ふと思ったのは、私もまた「予防整備」を実践しているのではないかということだ。
例えば若手の離職者が多い現場なら、その離職率を下げられるように研修をしている。しかし、それは社員に直接的に「やめないようにしましょう」と言っているわけではない。当然やめようとしている人に「やめないで」と言っているわけでもない。研修を通じて、職場環境に合わせて、どのように振る舞えば良いのかを若手社員らにアドバイスしたりしているに過ぎない。それが間接的に離職率を下げることにつながっているはずだ。
ただ、この重要性に気づいてもらえないことが多い。なぜなら結果として、問題は発生しにくくなるからだ。離職する人も生まれないし、そういうことで揉めることも少なくなる。まさしく予防整備と同じではないか。
エンジンが動かなくなったので修理します、というのは問題の解決に違いない。直すこと自体、成果がわかりやすくお客様にも評価してもらいやすい。難しい故障ならばなおさらだ。これに対し予防整備にはそういう派手さはない。なぜなら何も起きないようにするのが予防整備の真骨頂だからだ。
ちなみに何も起きないように、私が気をつけているのは、「兆候」を見逃さないということだ。今回の動画の中でも話題になっているが、医者は健康診断の数値をもとに、こういう病気のリスクがあるから気をつけようと患者に声をかける。これこそ予防だ。同じように私も、これは数値ではないが、若手社員の話ぶりや表情などから職場での不適応を起こしていないかをチェックする。一種の不自然さに離職の「兆候」が隠れているからだ。
ここで難しいのは「兆候」は一見正常に見えるところに隠れていることだ。クルマなら普通に走っている、人間なら普通に生活している中に、異常が潜んでいるのだ。予防は問題が起こっていないところで手を打つから予防で、これは明確な状態になるまで待っていたら、それは「故障」であり「修理」が必要となる。
客観的に見れば、正常な状態が続いているということになる。新入社員の仕事の取り組みや職場関係の”予防整備”を担当している身としては残念なことだが、そのリスクや重要性に気づかれないことも多い。その上、自分がいた場合といなかった場合を比較することも難しく、成果がわかりにくい。それでもトラブルが起きるのを防ごうと頑張っているのは、それが重要だと信じているからだ。
動画撮影を通じて、たぶん自動車整備士の方々も同じ気持ちなのだろうと想像することができた。
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