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ADMRコラム118 「改善」と「成立」

 先日「学級崩壊を経験した教員」がテレビで特集されていた。話を聴いていると、様々な苦労が感じられた。数人の話を総合すると、クラスの子どもたちが担任の先生への不信感を抱くようになると上手くいかなくなるらしい。私自身も教員経験があるため、とても他人ごとには思えなかった。


 教員だったときに、研修の一環で学級崩壊を立て直し、クラスでの学習環境を「成立」させる方法を学んだことがあった。具体的には、クラス内の人間関係が希薄になっているため、まず教員が子ども一人ひとりとの関係を改善していく。その上で関係改善された子ども同士をつないでいく、というような方法だったように思う。要するに崩壊したクラスでは、全体を一気に関係改善することは難しいので、地道に関係づくりをしていくということが重要だということなのだろう。


 一方で学校は常に「改善」の波にさらされている。学力を上げましょう、よりよい学級をつくりましょうなど、いつも改善するように求められる。また教員も民間企業と同じように、個人の改善シートを作成し、年度末には評価を受けることになる。


 確かに改善の意識がなければ、ムダが放置されたりするのでよくないのはわかる。しかし、その現場が改善できるフェイズにあるのかをしっかり見極める必要があるのではないかと感じる。


 例えば授業ができないほど学級崩壊が起きているクラス、多くの子どもが不登校になっているクラスで、学力の向上を実現しようとするのは時期尚早ではないだろうか。それよりもまず全員が自分の課題に取り組めるように環境を整えていくことの方が先に思える。


 これは一般企業にも言える。職場の「成立」が現実的なゴールになることもある。離職が多い、なんとなくどんよりしている、社員がつらそうに仕事をしている、といった職場は「改善」よりも、まずは「成立」を目指すべきではないか。


 つまり、何でも改善しようとするのではなく、毎日社員が集まって、なんだかんだあるけど、一日無事仕事が終わるという風に、職場が曲がりなりにも成立していることの価値をもっと認めるということだ。成立させるためには、学級崩壊を起こしたクラスへの取り組みのように、管理職とスタッフの関係をしっかり築くことが最優先だ。もしそれができれば毎日の仕事は安定してできるはずだ。


 特に新入社員は、基本から学ばなければいけないことが多いため、「改善」フェイズに入るまでに時間がかかる。だからこそ、毎日の仕事がしっかりでき、一日を終われたことをもっと評価すべきだと思っている。当然上手くいかなかったこともあるだろう。管理職にはそれは仕方ないこととして評価し、新入社員が前向きに次に向かえる勇気を持たせてやってほしいと強く感じる。


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