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ADMRコラム111 1+1=?

 「1人口(ひとりぐち)では食えぬが2人口は食える」―収入の多くない若者に結婚を勧める言葉として昔から使われている。聞いたことがある人もいるだろう。独身であれば好き勝手にお金を使ってしまいがちだが、結婚すれば協力して家計をやりくりして何とかなるという例え話だ。


 企業の合併や統合でいえば、間接部門をまとめることで合理化することに近いかもしれない。それぞれに総務や経理などがあり、独自の管理システムも導入している。それらを一本化すれば効率化できる。リストラはしないとしても、そこで生じた人的余力を他部門に配転すれば全体のマンパワーも増強できる。


 1+1が単純に2になるのではなく、合理化効果でコスト増は1.5に抑えられるほか、配転により人員を増強できる部署も出てくる。さらにお互いのノウハウを共有することで重複しているところをまとめることで、営業力や提案力も強化が期待できる。これによりトータルでは1+1が2.5や3に増える可能性もある。まさにスケールメリットだ。


 ビジネスの観点からすれば、それは正論だろう。ただ、統合や合併をした会社が想定通りの成果をあげているところばかりではない。かつて大型合併を経験した大手銀行の関係者に聞いたことがある。「旧〇〇銀行出身という意識が強く、本当に一つの会社になるまでには20年くらいはかかる」。そして「それまでは1+1が2には達しない」とも。


 最大の理由は”社員の気持ち”にある。社長や役員はポストが減っても、それなりの処遇を受けられやすい。しかし若手や中堅社員はそうはいかない。どこの会社でも部門を束ねる責任者は限られる。別の会社であれば、それぞれに営業部長がおり、同じ地域ならば店長が1人ずついる。それが合併になれば複数は必要なくなる。


 そこで外された人の気持ちはどうか。さらに言えば、順調にいけば課長になれる、うまくいけば部長に昇格することも可能と自身のサラリーマン人生を描いていた人からすると、突然、大きなシナリオ変更を迫られることになる。


 まだ遠い将来の話と思える若手はいいかもしれないが、中堅以上の社員が統合前と同じモチベーションを保てるか。そういう人が増えるリスクを含め統合のメリットを引き出すのは容易ではないし、時間もかかる。


 冒頭の例え話は、結婚したら女性は家庭に入るという価値観が強かった時代のもの。共働きが多くなっている今ならば、家計のやりくに加え収入も増えるから生活は楽になるはずだ。それでも結婚したくないという若者が増えている。「一緒になる」ということはメリット。デメリットを単純に差し引きして答えが出るものではなく、一面だけ見て良し悪しを判断することはできないということだろう。


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