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ADMRコラム109 一貫作業か分業か
少し前の話だが、パソコンを量販店に買いに行った。ほとんど知識がないので、どれを選んでいいかわからない。店員に聞くと、こちらの使用目的を聞いたうえで、パソコンの基本性能はもちろんプリンターまでわかりやすく説明してくれた。応対がよかったので店員のおすすめ商品を購入することにしたのだが、その店員のアテンドはそこで終わり、オプションの購入や設定サービス、支払いはすべて別の担当者を紹介され、流れ作業のように進んでいく。
こちらとしては、親切な店員に最後まで立ち会ってほしかったが、「分業」が会社のルールなのだろう。すべての購入作業が終わったときにその店員が現れて「ありがとうございました」と挨拶してくれたので、多少の残念さはあっても満足感があった。
では自動車販売の現場はどうだろうか。営業スタッフの”守備範囲”は広い。クルマの商品説明をするだけでなく、クレジットや保険、用品の提案もしなければいけない。受注を獲得したら納車もある。新型車の一通りの機能を説明するだけでもかなりの時間が必要となる。
お客様との関係を深めるためには、確かに「一貫作業」で一人のスタッフがすべてアテンドする方が望ましい。ただ、それが人手不足の時代で”正解”とは言い切れなくなっているのではないだろうか。
営業スタッフの最大の任務はクルマを売ることだ。最新の商品知識をもとに、お客様のニーズに合わせて購入の提案をする。そのスキルを最大限に発揮してもらうには、ときに「分業」があってもいい。納車に時間を取られて新規来店のお客様の対応ができない、来店予約した別のお客様を待たせてしまうといったケースが多くなるようであれば、改善の余地がありそうだ。
納車時の説明であれば、しっかりした応対ができるシニア社員が活躍できるだろうし、知識と接客を学べば営業以外の社員でも対応可能だろう。担当の営業スタッフはパソコンの店員と同じように、最後に挨拶すればいい。金融商品や用品は新車販売とセットで営業スタッフの”担当”というケースは多いが、これも分業は可能かもしれない。
「お客様第一」の観点からすると、一人がすべて対応するのが望ましいことは間違いない。しかし、それによって他のお客様にしわ寄せがくるようであれば、それが本当のお客様のことを考えているのか、という指摘もあながち間違いではない。精神論のように「やればできる」で済ませるのではなく、効率とお客様対応の向上に真剣に向き合うならば「分業」は有効な手段の一つと言える。
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