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ADMRコラム106 あなたの組織は「山城」でよいのか?
かつて上杉謙信が治めた春日山城に行ったことがある。堅固な山城と言われるが、まさしくその通りだった。なんとか登ったのだが、その苦労を思い出すと、当時の春日山城を攻めようと思った人々の大変さが想像できるような気がした。
上杉氏は当然攻められないようにしたかったから、このような城をつくったのだろう。確かに軍事拠点としては守備力が高い方がよい。では、戦国の世を終わらせた武将たちはこのような山城を本拠としていただろうか。
豊臣秀吉の大阪城、徳川家康の江戸城や駿府城は、山城として分類されることはない。これらの城は、春日山城より守備力が劣る平山城である。山城に比べれば、攻められると「弱い」城として考えることもできる。それでも彼らは天下統一できた。それはなぜだろう。
戦国大名の強さとは、単に軍事力の高さだけではなかった。例えば、領地にどれだけ人を住まわせるか、城下町に商人をどれだけ呼べるか、水運を使ってどれだけモノを運べるか、といったことも戦国大名の「強さ」になっていた。山城はそういった観点でいうと、弱い部分があった。町からどうしても遠くなる、人を住まわせることも難しい。戦など緊急時は良いが、長い目でみるとどうしても「暮らしにくい」お城になってしまう。
組織経営も同じことが言える。企業経営をしていると、経済的な成功が第一になっていく。だからどんな方法でも商品をたくさん売った人が評価されるし、それ以外の成果は高くても評価されにくい。
しかし局所的に強くても、長い目でみると持続可能性があるか疑問に感じる組織も少なくない。例えば、〇〇の仕事はAさんが得意なので、ずっとやってもらっている、というのは、経済的な成功を求めればそのままで良いのだろう。しかし属人性が高く、もしそのAさんが辞めてしまったら、まったく仕事が果たされなくなってしまう。これは経済的にも損失だ。
まるで守備力重視の山城のように、バランスが悪い状態とも言える。組織には多様な強さが求められる。ノルマ達成のための個々が懸命になると同時に、働きやすい職場づくりが必要かもしれない。人が次々と辞めていくようではノルマ達成どころか最低限の売上確保も難しくなる。経済性を求める組織にとっては、一見無駄に見えることも取り入れる必要があるということだろう。
大事なことは、常にどのような組織をつくりたいかを考えることだ。徳川家康は何より時代を見つめる目が卓越していたのではないか。結果論かもしれないが、だから天下が獲れた。組織を束ねる人は、山城にならないように周囲の動きを敏感に察知し、その時代に合わせた対応が求められる。そして、それができた人だけが大きな成果を得ることになるのだろう。
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