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ADMRコラム99 “寄ってたかって”人を育てる
サッカーのワールドカップ。日本代表の選手がゴールを決めれば、ニュースで何度も同じシーンが放映され、まさにお祭り騒ぎとなる。さらにはゴールした選手の高校時代や少年サッカーチームの恩師なども登場して、いかに優秀な選手だったか、エピソードを交えて紹介する。恩師の育て方が良かったのか、本人の努力と才能があったからなのか判断は難しいが、恐らく、その両方がうまく合致したからこそ代表に選ばれるような選手になれたのだろう。
才能に溢れた有望選手が、進学先や入団したプロチームで期待通りの成果を出せないことはしばしばある。長所を伸ばすことを大切にする指導者もいれば、短所の修正を優先する人もいる。こうした指導方針でもめて選手が意欲を失ってしまうケースは少なくない。さらに言えば、才能があったように見えた選手が実際には”伸びしろ”があまりないことが分かることもあれば、才能があっても努力しようとしない人もいる。指導者と選手の方向性がうまく合致して才能を開花させるのが理想だろうが、それが現実のものとなるのは一握りに過ぎないのかもしれない。
部下の育成も共通するところが多い。意欲はあるが、仕事の飲み込みが遅い。言われたことはそつなくこなすが、それ以上のことは自分から取り組もうとしない―かつて、筆者の部下にもこういったタイプがたくさんいた。相手の長所、短所を見極めながら、どうしたら成長してくれるのか、あれこれ試行錯誤した。その中で考えたのが「周囲を巻き込む」ことだった。上司や隣の部署の管理職などに、現状を小まめに報告し「気になることがあったらアドバイスをしてほしい」と依頼した。
実際に指導方法で参考になる意見も少なくなかった。自分のやり方が、すべての部下にフィットするわけではない。一歩間違えると独りよがりになりかねず、部下の成長機会を逃してしまう恐れもある。できるだけ多くの人の意見を集め「寄ってたかって」育てる方が、選択の幅が広がり本人のためにもなる。
人材確保が難しい時代になり、若手社員を預かる管理職、自動車販売店でいえば店長や工場長にかかるプレッシャーは大きいはずだ。「戦力」として育てる一方で、退職させないことも重要な使命となりつつある。価値観の違いを理解し、ハラスメントへの配慮をしながら個々のレベルアップを促すのは容易ではない。そのうえ転職が当り前で、ちょっとした出来事が退職の契機になったりする。一人の管理職が責任を負うには負担が大きすぎるとの見方もできる。
寄ってたかって人を育てるということは、指導を多角的に行うことだ。それ以上に、部下の情報を周囲の管理職や上司と”共有”することで直属の上司のプレッシャーを軽減できるメリットも大きい。部下だけでなく管理職も人材育成を「皆で考える」。直属の上司だけが育成担当ではないと周囲も認識する必要がある。
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