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ADMRコラム⑪ 誰もが「初心者」だったはずなのに・・・

転職はもちろん、社内の人事異動からちょっとした担当変更まで、それまでと異なる環境で新しい仕事に取り組むのは新鮮なものだ。馴染めるかどうか不安の方が大きくて、新鮮さを楽しむ余裕などないという人は多いかもしれないが、社会人としてキャリアを重ねるほどゼロから仕事を覚える機会は少なくなる。同時に「初心者の気持ち」をどこかに置き忘れていく。 想定していなかったお客様の質問にどきどきしたり、商談の合間にふと訪れる沈黙の時間に居たたまれないような気持ちになったり、経験を積んだ今ならほぼ条件反射のように対応できることが、初心者の頃は難題であり大きな壁だった。   その時は悩みに悩んで、それでも答えが見つからない。自分はこの仕事に向いていないのではないか、能力がないのではないかと思い詰めた。それが周囲のアドバイスと、失敗しながらも経験を積み重ねることで、気がつけば対応できるようなっていた。その繰り返しで仕事のノウハウを身に着け、部下や後輩を指導する立場になっていく。 ただ「一人前」になってから5年、10年と年月が経過すると、当時の苦労を忘れてしまいがちだ。大変だったので思い出したくないというのもあるだろうが、人は得てして都合よく解釈するもので「自分は簡単に課題をクリアした」「同期の中でもいち早く仕事を覚え成果をあげた」―などと記憶を”書き換え”して過去の自分を美化してしまう。   自分だけのことならいいのだが、それが部下を巻き込んでしまうとなると看過できない事態になりかねない。指導する際につい「そんなことは簡単だろう」「まだ理解できないの」「私はすぐにマスターできたよ」―などと言ってしまう。悩んでいる部下にとってはプレッシャーでしかなく、場合によってはパワハラと言われても仕方ない。ところが当人は駆け出しの頃の苦労や悩みを都合よく消し去っているから、問題ないと思っている。   結果として、部下が委縮し成長を妨げることになる。さらに「うちに配属される若手はレベルが低いから育成が難しい」「簡単なこともできない人ばかり入ってくる」と、責任転嫁しようとする。 初心忘るべからず。駆け出しの時の苦い思い出は忘れてはいけないし、その経験を部下と共有できればコミュニケーションも深まる。若手の育成に定評のある上司はそれがよく分かっている。   ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします