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ADMRコラム③ 仕事の「囲い込み」

プロ野球の名投手が、得意とする変化球の投げ方を若手選手から聞かれ「知りたかったらお金を持ってこい」と答えたという話を雑誌で読んだことがある。チームプレーとはいえ、プロ野球選手は個人事業主。いくらチームが勝っても自分の成績が悪ければ給料は下がる。若手にノウハウを教えて活躍されたら、自分の出番が減るだけだから「囲い込み」をする。プロならば当然の行動と言える。 これが会社でのこととなると話は変わる。その人しかできない仕事、わからない業務があることがリスクになる。その人が急に会社を辞めたり、長期間休まざるを得なくなったら影響は計り知れない。 規模の大きい会社ならば大半の業務を複数で担当しているが、中小企業は”1人担当”になりがちだ。長くやってきたからノウハウも蓄積しており、本人にすれば会社に貢献しているという満足感もある。周囲は頼ってくれるし評価もされやすい。 だから、リスクマネジメントの観点から「他の人と仕事をシェアしてほしい」と言われても抵抗するケースが少なくない。表向きは受け入れているように見えても、(無意識かもしれないが)肝心なことは教えないで「やっぱり〇〇さんでないとわからない」と言われるようにして、いつの間にか1人担当に戻してしまう。承認欲求が満たされる仕事は簡単に手放したくないということだろう。 シェアすることで他の人と比べられることを恐れる人もいる。仕事の一部を引き継いだ人が、自分が苦労して覚えたことを短期間でマスターしてしまうかもしれないし、場合によってはより効率的なやり方に変えてしまう可能性もある。そこで自分の評価が下がることを恐れる。また、シェアによって生まれる新たな業務に自分が対応できなかったらどうしようかとも考えてしまう。自分に自信がないからだろうが、結果として比べられないように仕事を囲い込むことになりがちだ。 本人は仕事で会社に貢献している、またはしたいと思っている。ただ、その方向性が違う。そこをどう理解してもらい新たな業務に前向きになってもらうか、マネジメントする側の力量が問われる。  ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします