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ADMRコラム94 能力と利益と評価のアンバランス

 普通1時間かかる作業をその人は40分でできる。しかもミスやトラブルが平均より少ない。生産性が高いということであり、同じ時間で作業すれば、平均に比べ3割以上多くの利益をあげる。当然、社内でも評価されるはずなのだが、必ずしもその通りにならないことがある。


 整備の現場でもこうした話をしばしば聞く。点検や車検の作業は確実かつ早い。古いクルマのトラブルの“ツボ”が分かっていて、的確に対応できる。難しい故障診断も短時間で原因にたどりつける。豊富な経験と知識、さらに培った技術力がありその能力は社内でも一、二を争う。整備士としての理想像とも言えるのだが、それが会社の収益や本人の評価に直結しないことがしばしばあるという。


 自動車販売店や整備工場の多くは車検を主力ビジネスとしている。入庫が多く、しかも見込みが立てやすい。台数をこなせば収益もついてくる。担当者は、高度な技量というより決められた作業を確実にこなすことが重要で、整備士としての経験が数年あればほぼ問題なくできるという。このため若手の整備士が受け持つケースが多い。


 これに対し能力の高い整備士は、重整備や高度な故障診断などで必要となる。経験や知識、技術力が求められる作業で、整備士の実力に応じて効果的に業務の配分を行っていると言える。ただ、収益性でいうと重整備などは作業に時間がかかることが多く、必ずしも採算効率が高いということではない。このため「優秀なベテランと若手の一人当たりの利益があまり変わらない」(大手専業工場経営者)というケースも出てくる。当然、本人の評価にもかかわってくる。いくら実力があっても利益面での貢献が多くなければ会社として高評価はしにくい。


 車検の作業でも同様だ。優秀な整備士は作業が早く、他の人より台数を多くこなせる。忙しく働いて定時に終わらせる一方で、別の人は作業が遅く少ない台数でも残業せざるを得ず、結果的に収入が増えることになる。効率的に作業している人が評価されればいいのだが、整備士の技術の評価が難しいという理由で、工場単位での横並びや年功序列的な人事評価が色濃く残っているケースも少なくない。


 整備士として努力して能力を高めてきた。それに見合った仕事をしている自負もある。ただ、それに評価や待遇がついこない。「能力」「採算性」「評価」のバランスが取れていないという見方もできる。整備士不足を嘆く前に、このアンバランスさをどう修正するか、正面から向き合うべきではないだろうか。


※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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