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ADMRコラム72 いかにホスピタリティを発揮するか?

 先日、大学生と話をする機会があった。その大学生は学びの一環で、社会人にインタビューをしているそうだ。しかし彼女には悩みがあり、インタビューをしても盛り上がらないとのこと。相手から必ず「緊張してる?」と訊かれると話していた。少し話をしてみると、そう言われてしまう理由はわかった。「返しが弱い」のだ。


 インタビューワーは、ひと通り聞いたあとに必ず感想のような、つなぎの言葉が必要になる。例えば、「〇〇をしたら××ということに気づきました」とあれば、「△△ではなく、××と思ったのですね…」といった具合だ。彼女はそれが苦手なようで、「そうなんですね…」といった、ありきたりな反応をしてしまい、どうも興味がないような返しになっていたようだ。本人にそのつもりはないのに、返しがわからず口数が少ないので「緊張している」かのような印象を与えていたのだ。


 そこで私は相手の人生に思いを馳せるように、とアドバイスした。インタビュー相手の行動、発言には必ず過去の経験が結びついている。それを意識してみると、自然と相手に寄り添った対話になるはずと考えた。その後、彼女は早速実践してくれた。話題を自分ごとのように反応してくれるのは、話し相手としては非常にありがたいと感じた。


 最近の営業マンの悩みで多いのが、お客様に踏み込んで商品をおすすめできないということだ。一度「いや、結構です」と言われると、これ以上勧めるとお客様に嫌がられそうと思うようだ。例えば、お客様のためを思っておすすめしたいサービスがあっても、「そこまではしなくても」と言われてしまうと、自信をもって勧められないのだ。


 当然彼らが扱う商品、例えばクルマやその関連商品は悪いものではない。悪いものを売りつけているわけでもなく、お客様が迷いながらとりあえず断ったのかもしれないのに、再度の提案を躊躇するのはなぜなのだろうか。


 考えられるのは、個人としてのバリアーが強いのではということである。自分の領域に他人が入り込んでほしくないから、相手に対しても嫌がる距離感のつめ方をしたくない。実際に接していると、友人とはいえ表面的な付き合いにとどめる若者が想像以上に多いことがわかる。それでいて同時に自分が理解されないことを嘆く人もいる。悩ましい問題だ。


 一方で経験豊富な営業は、お客様の揺れる気持ちを見据え、ホスピタリティを提供しようとする。「いや結構です」と言われても、必要なことであると自信を持って勧めるのだ。それは営業のエゴではない。本当にお客様のことを考えた、一種の深いコミュニケーションなのだ。


 インタビューワーの彼女もそうだが、営業もまた向き合う相手の人生に思いを馳せ、彼らの生活に合う商品を、自信を持って勧めるべきなのだ。断ったのは本心ではないかもしれない。いかにそういったお客様の「迷う気持ち」を見抜き、本心に触れることができるかが勝負のカギになる。そのときには、お客様のバックグラウンドは大きなヒントになるだろう。


※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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