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ADMRコラム67  “ボール球”の有効活用

 メジャーリーグの野球中継をテレビ観戦していて、解説者の言葉が印象に残った。メジャーリーグの投手の投球におけるストライクの比率は5割強から6割程度だが、ドジャーズの山本由伸投手は7割近いのではないかと言っていた。ストライクを取るボールに切れと威力があるからできることのようだ。


 野球では1打席にボール球が3つまで許されている。ストライクを3球続けて3振というのが投手の理想だろうが、プロ同士ではそう簡単ではない。ボール球で打者の狙いを絞らせず、変化球を交えながら打つタイミングを狂わせていく。ストライクを取ることに汲々としている草野球の投手と違い、プロはボール球をうまく使いながら打者を打ち取っていく。ボールの「出し入れ」と言われるもので、その駆け引きが勝敗を大きく分けることになる。


 商談も同じではないか。商品説明と値引きなどの条件をひたすら説明し、お客様に「買ってください」と迫る。ストライクを立て続けに投げているようなもので、山本投手ほどボールに威力がないから打ち返されてしまう。つまりクロージングができないということだ。クルマのような高額商品になるほど、大半のお客様は購入を決定するまで迷ったり悩んだりする。ときには家族や知人に相談することもある。


 お客様が考えているときに、売り手からぐいぐい迫られては迷惑にならないか。せっかく購入に前向きになっていたのに「しつこい」と嫌がられ、商談が不成立になってしまう可能性もある。世間話やお客様の趣味、興味を持っていることなど、リラックスできる話題を交えると同時に、お客様が迷っているときには話しかけることもやめる。ストライクばかりでなくボール球を交えることにより野球でいえばアウト、商談では成約に近づけていく。


 押してもだめなら引いてみる―プロの投手と打者の対決は、ボール球をいかに有効に使うかが重要であり、商談もまた同じだろう。ストライクばかりの「真っ向勝負」だけでは勝率は上がらない。お客様の状況に合わせてボール球をいかに有効に使っていくか。幅広い話題についていけるだけの知識も必要だろうし、まったく分からない話題が出たときにどう対応していくかというのも一つのノウハウではある。そして何より、お客様の言っていることに興味をもつことではないか。


 お客様が商談に直接関係ない話題を振ってきたときに「早くクロージングしたい」とばかりに聞き流したり、話題を変えてしまうと相手は白けてしまう。少なくとも身を乗り出して興味を示せば、その後の会話はスムーズになる。お客様もストライクばかりを投げてくるわけではない。遠回りでも、ボール球をしっかり見極めていくことがクロージングの成功率を高めてくことになるのではないか。


※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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