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ADMRコラム62 シニアの経験は会社の財産

 芸能界のスターやスポーツ選手が全盛期にスパッと辞める。ファンは惜しむだろうが、良い思い出だけ残して表舞台から去るのは格好よくもある。かつては多くのサラリーマンもそれが可能だった。定年までポスト、給料は上がり続け、定年時にピークとなり会社を”卒業”していく。しかし、役職定年や雇用延長・再雇用が当り前になったことで、微妙な立場、待遇で働き続ける必要に迫られた。


 体力は少し衰えているとはいえ、やる気も、蓄積した仕事のノウハウも十分にある。にもかかわらず”ある日“を境に責任ある業務からはずされ、かつての部下のもとで言われた業務を淡々とこなすだけ。収入も半減する。そして、何より辛いのは社内で「第一線から退いた人」と見られ、相談されたり、頼られたりする機会が少なくなることだ。本人がそう思っているだけかもしれないが、それまでバリバリ働いていた環境が激変し「必要とされない」となれば、仕事へのモチベーションを保つのは難しい。


 自動車販売の現場では、整備士不足が深刻化している。会社も若手の採用や離職防止にあれこれ知恵を絞っている。それでも受け入れ能力は限界に近く、入庫予約が取りにくい状況になっている。8月にエアコンが故障したユーザーが予約したら1カ月後と言われ絶句したというジョークにもならないような話も聞いた。明らかに戦力不足と言える状況で、有効な打開策が見つけ出せずにいる。


 採用が難しいとすれば現有戦力の有効活用という手はどうだろうか。定年を迎えるシニア層が活躍できる場、環境を整えればサービス部門全体のレベルアップや生産性向上が図れる余地は十分にありそうだ。なぜなら再雇用などの制度はあるものの、人材の活用より事務的、機械的に仕事を割り振ることに目を向けているところが多いからだ。極端に言うと、給与を下げて肩書もなくしているのだから最低限の仕事をしてくれればいいと諦めているのではないだろうか。


 シニア社員の多くは30年、40年と社歴を重ねスキルやノウハウを蓄積してきた。それは会社の「財産」でもあり、定年とともに活用しなくなるのはもったいない。給与を増やすのは難しいかもしれないが、培った技術や知見をフルに発揮してもらう働き方は用意できるはずだ。難しい整備、安定感のあるお客様対応など、ベテランならではの強みが生かせる業務はもちろん、工場長や店長のサポート、若手への指導も経験が生かせる。実際に「周囲から頼られる」ことがモチベーションにつながるというシニア層は少なくない。それにふさわしい肩書がつけられればもっといい。


※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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