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ADMRコラム㊿ AIとの距離感

    ADMR公開セミナーの話  
   

 少々手前みその話になるが、先日開催したADMRの公開セミナーで聞いた話を一つ。弊社と共同で自動車販売店向けのAIソフトを開発したIT企業の社長が「若手社員は(困りごとがあると)上司でも先輩でもなくまずAIに相談する。AIがいわば友達のような存在になっている」と言っていた。この世代はAIに抵抗感がないだろうと想像していたとはえ、想定を越えていた。

   

 AIは問い合わせに対し、世の中にある膨大な情報を整理して最適な答えを出してくれる。学習機能もあるので、必要な知見を織り込んだり、使い込んでいくほど答えの「精度」を高めることもできる。使い方次第では便利であることは間違いない。しかし会社としての活用となると、自動車流通業界でもまだ二の足を踏んでいる会社が少なくないようだ。若者の行動は理解できないことが多いが、会社の考え方はなんとなく想定できる。

   

 仕事に役立ちそうだということはわかっている。ただ、どんなものなのか理解できていないか、使い方がよくわからないから本当の便利さを実感するところまでいかない。経営陣も幹部も、中にはITに造詣の深い人もいるだろうが、多くはアナログで育ち社会人になってからパソコンと格闘した人が多い。筆者もその一人だ。関心はあっても知識が追い付かないから決断できない。一方でリスクはないのか、そこは責任ある立場だから気になってしまう。結果として決定が先送りとなり、若手社員は不満を募らせていく。もしくは個人で個人活用してスキルを高め、会社とのギャップがさらに大きくなっていく。

   

 そんなことを考えていたら、30年ほど前にインターネットが普及し始めた頃のことを思い出した。「仕事のツールだから過度な期待はできない。今までのやり方を工夫すればいい」という否定派もいれば「インターネットの時代に乗り遅れたら会社は生き残れない」と極端な推進派も少なからずいた。共通しているのは「よくわかっていない」ことで、「インターネットを使って何をしたいか」という最も大切な「導入の目的」を明確に持てない企業が多かったのではないか。15年ほど前に話題になったIoT(もののインターネット)の時も同じで、当時、IoTの大手企業に取材したことがあるが「何をしたいかを決めずに、とにかくIoTを導入したいというクライアントへの対応で苦労している」という話をよく聞いた。

   

 便利な道具で仕事の効率化、生産性向上に役立つならば使えばいい。AIの急激な進化についていけなければ導入できないということでもない。「困っていることが解決できるか」を基準に考えればいいのではないか。それを活用することで成果があがるかどうか、投資効率とリスクを踏まえて判断すればそれほど悩むことはない。若者のようにAIとの距離感を縮めることは難しいかもしれないが、目的さえはっきりしていれば中途半端な決定にはならないはずだ。

   

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