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ADMRコラム㉞ 『別れの季節』はシステムが見せる幻想か?

春は「別れの季節」と言われることが多い。確かに卒園・卒業シーズンであるし、定年退職や異動が多い時期でもある。 しかし妻にその話をしたら、「そうなの?」と言っていた。妻の職場は中途入社、中途退職が多いなど雇用の流動性が高く、3月で大きくメンバーが変わることはないそうだ。働き方も変われば、季節の感じ方も変わるものだと思った。   それにしてもなぜ年度は4月からなのか。調べると、かつて明治政府は10月から、1月から、7月から、というように年度初めは変えていた。そして明治19年度の始まりを4月に変えた。一説には前年度の赤字が縮小するためだとか。その後年度は4月はじまりに固定され、いまに至るらしい。 ここからわかるのは、結局、システムが人間の行動や感情を動かすことがあるということだ。例えば、一括採用、終身雇用であれば、4月が出会いの季節で、3月は別れの季節になる。もとはと言えば、それを定めたのも、政府の赤字を縮小するためという、まったく季節感を無視したなんともドライな決定だ。 もしかしたら転職が当たり前になり、同じ会社には長く在籍しないのが普通になってしまえば、3月のイメージが変わるかもしれない。「桜」に別れの悲しさを込める歌手もいなくなるのではと思った。   翻ってみると、システムが行動を制限していることがある。男性用小便器に的の絵を描いたことで、掃除をしやすくなったというのをきいたことがある。またコロナ禍では前の人との間隔をあけるように足跡が描かれたところも多かった。近年、それらは行動経済学の「ナッジ」という言葉で説明される。人々の無意識を利用してよりよい行動をさせているのだ。   便利になればよいが、一方でシステムが悪習になっていることはないだろうか。連絡がメインで議論がなく、長時間社員を拘束する会議や、ブラック校則のように昔のままにしたために、現在では意味を失ったきまりなど、システムが人々を苦しめる例を挙げるときりがない。 そういうものに出くわしたとき、一旦離れて見つめなおし、その意味を考える癖をつける必要があると思う。無意識的に従ってしまうシステムも確かにある。その無意識をあえて意識しようとする姿勢が必要だ。ときにそのシステムを壊し、再構築することもあるだろう。そのときは関係する人で大いに話し合えばよい。そうして、みんなが幸せになるシステムをつくりあげることが構成員の役割だと思う。   ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTobeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。 https://youtube.com/channel/UCqHCBS6u1aYsH4qSjM3MItA?si=zSaDUnfCg8GqMDDA