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ADMRコラム㉝ 便乗値上げは悪か
米の価格が上がっている。1年ほど前は5キロで2,000円強だったものが、4,000円弱と2倍近い価格となっている。政府が備蓄米の放出を決めたが、まだ下がる様子はない。転売で一儲けしようとする新規参入組の存在や、流通段階でどこかが在庫を多く抱える”目詰まり”も指摘されているが、備蓄米が流通する3月以降も価格はそれほど下がらないとの予測が多い。
筆者の実家も高齢の父が2年前まで米を作っていた。面積は少なく自宅で使用するものを除けば売上は20万円にも届かない程度の兼業農家。昨年、確定申告を手伝った際に赤字の大きさに驚いた。固定資産税、苗や肥料、袋など資材の購入費のほか、米の乾燥や管理を農協に委託する費用もかかる。トラクター、田植え機、コンバインといった農機具はひと揃えすれば少なくとも300万円以上はかかる。15年で償却しても年間20万円に達する。これだけでも相当な赤字で、人件費など出るはずもない。文字通り「ただ働き」である。給料や年金など他に収入があるから続けられたが、米の専業農家がサラリーマンと同程度の収入を得るのは容易ではないことが改めてわかった。
もともとの出荷価格が安すぎるのである。資材も燃料代も軒並み上がっている。それでも「先祖代々の田んぼだから自分の代でやめたくない」と考えている農家は少なくない。しかし現実には、採算割れが続けば実家の例をあげるまでもなく継続は難しい。出荷価格が上がっていかないと米作りの担い手は減る一方だ。投機的な買い占めや転売は便乗値上げの原因となり、いかがなものかと思うが、ある程度の値上がりは米作りというビジネスを継続するうえでやむを得ないのではないか。
整備業界もレバレートを引き上げる動きが広がりつつある。ディーラー、専業者ともに1,000円単位で工賃を上げるところが目立つ。「整備料金が上げれば顧客が減る」と”強迫観念”にも似た意識に長い間とらわれていたように見えたが、ようやく新たな一歩を踏み出した。
整備士不足の要因の一つが、低い給与水準にあることは間違いない。それを引き上げるには原資が必要であり、収益向上が不可欠だ。他業種と比べ明らかに低いようでは、採用はもちろん、今いる人材を引き留めるのも難しい。そのための工賃引き上げはであれば少なくとも便乗値上げとは言われないだろう。自動車整備というビジネスを継続していくためにも躊躇している場合ではない。整備士を確保して顧客の命を守る点検・整備を安定的に提供し続けることは整備業界の使命でもある。
※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。
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