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ADMRコラム㉜ あなたの周りの「論破王もどき」
「論破王」と呼ばれる人が有名になっている。時には屁理屈ともとれる論理で相手を説き伏せていく。議論して勝つことが目的で、それが売り物にもなっている。日本人は人間関係で波風を立てない、目立つことを避ける傾向があり、そもそも議論が得意ではないとされている。だからこそ「論破王」が注目されるのだろう。
とはいえ、よく観察していると”論破王もどき”はあちこちにいる。自動車販売店で車検の予約をしたお客さまが遅れてきた。サービススタッフは予定を組んでいるから、入庫が遅れるとその後の作業に支障が出るから困るのは事実だ。だからといって「遅れたらこちらが迷惑します」みたいな言い方をすると一方的にお客さまを非難するような口調になってしまう。お客さまに謝るような言葉を言わせて満足かもしれないが、次は入庫してくれるかどうか… ある自動車ディーラーの社長は言っていた。「遅れたら困る理由を説明して、とにかくこちらの事情を理解してもらうことが大切」であり「正論を言って論破してもお客さまは喜ばない」―。入庫の予約時間に遅れる人が多く、どうしたらお客さまが時間通りに来てくれるか、試行錯誤して得た結論がこれだったという。 部下が同じミスを繰り返す。仕事で進歩があまり見られないし、意欲も感じられない―どこの職場でもよく聞く話だ。当然、上司は注意、指導をするのだが、一方的に叱責していないか?時にはそれも必要だろうが、ミスした理由を聞き出して再発防止の手段を一緒に考えることはしない。レベルアップしないのはやる気がないと責めるだけで、できない理由がどこにあるかを考えない。部下のダメなところを指摘し「申し訳ありません」と言わせて満足してしまう。 議論の英訳としては、ディベートとディスカッションなどが挙げられる。前者は対立する立場(賛成、反対など)の両者が論理的な正しさを競うもので、議論を通じて課題への理解を深める。勝ち負けはつくが、論破すること、つまり勝つことが最重要というわけではない。ディスカッションは課題に対して意見交換し対策を明確にする。 どちらも”一方通行”では成り立たない。売る側と客、上司と部下、立場が違うからこそ双方向で意見や考えを一致させていくことが求められる。ビジネスでは「論破王」は要らない。 ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします