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ADMRコラム⑥ 日本のHVとEV

世界の主要自動車市場の中で、日本の特徴の一つとして挙げられるのがハイブリッド車(HV)の存在感が圧倒的に高いことだろう。乗用車におけるHVの販売比率は5割近くに達し、新車を購入したほぼ2人に1人がHVを選んだことになる。これに対し欧州のHVシェアは日本のほぼ半分、アメリカは全体の1割に満たない状況だ。   一方、電気自動車(EV)を見ると、日本での販売シェアは2%程度にとどまっているが、中国は20%を超え、欧州15%、アメリカも10%近くとなっている。「テスラ」「BYD」を筆頭に世界の主要市場で存在感を高めている。 日本だけが様相が異なるのは、HVに対するユーザーの信頼感が高いからではないか。20~30年前のガソリン車と比べると燃費は2倍以上、向上した。二酸化炭素(CO2)の排出はゼロではないが、燃費も含め地球環境に優しい。   価格もリーズナブル。日本の自動車メーカーはHVで世界をリードし、電池を含め品質についても20年以上の実績がありトラブルは少なく、リセールバリューも高い。HVにほぼ満足しているからEVになかなか目が向かない。   これに対しEVはここにきて成長に陰りが見える。価格、バッテリーの性能、充電をはじめとするインフラの不足など、課題がクローズアップされている。 EVは普及の「第一段階」を経て、より難度の高い「第二段階」に入る前の”踊り場”にいると見られている。ここで日本を含む世界の自動車メーカーが必死に開発を進めているのが、双方向通信を使って車を制御する「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SOD)」や航続距離を大きく延ばせる全個体電池の開発などだ。その結果が出る頃、日本の市場はどうなるのか。今度こそ一気にシェアを伸ばす可能性もあり、販売、アフターサービスの現場も、数年後に起きるかもしれない変革に今から備える意識があってもいい。   ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします