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ADMRコラム93 情けは自分の仕事を助ける?
「情けは人のためならず」と「風が吹けば桶屋がもうかる」という2つの格言には共通点がある。それは、巡り巡って思わぬところに影響があるということだ。
一般的に私たちは、単純な条件と結果を構想してしまう。例えば、勉強すればテストで良い点数をといったように、努力と結果が比例しているイメージだ。しかし、多くの人が知っての通り、勉強してもテストで良い点数がとれるとは限らない。それ以外の要素、勉強するときの集中力だったり、そもそもの家庭の文化資本だったりが関係しているからだ。
ここからわかるのは、ある結果は一つの条件でのみ成り立っていないということだ。冒頭の話では、親切は当然相手のためであって、自分のためにしたわけではない。自分のためになったことの要因は別にあるだろうが、最終的には自分のためになっているということだ。
単純な条件によって導き出される結果もある。しかし、特に社会では、単純に何かしたからといって、これが起こるということは少ない。それがきっかけに過ぎず、ほかの要素も大きな影響力を与えていることがある。
その認識が職場では忘れられがちだ。
「部下に指示をしたらやってくれるはずだ」
「懇切丁寧に説明したからわかってくれるだろう」
「お客様は特に連絡しなくても購入(点検)してくれる」
自動車ディーラーで、管理職の方々と新入社員教育について話をしたり、新入社員自身に聞いたりすると、複雑な人間関係を扱っているにも関わらず、非常に単純な構図で捉えていることが多い。
「店長は私を嫌っている」とか、「あの人は何かそっけない」といったように、スタッフ同士のトラブルでもこの単純な構図は使われがちだ。しかし思い出してほしいのは一人ひとりの思いが絡み合う社会(ここでは職場になるが)では、条件と結果が単純に関連しない可能性があるということだ。
指示した部下が動かないという事象には、部下に問題があるかもしれないが、ほかの可能性がないだろうか、と考えてみる。そのとき、部下の体調や精神的な状態に気を配っていただろうか。言い方に問題はなかっただろうか。ほかにバッティングしている指示があって混乱していなかったか―それぞれの事情を考慮する必要があるだろう。
このように、ある事象にはさまざまな要素が絡み合っている。それなのに多くの人が物事を単純化してしまうのは、脳の省エネなのかもしれない。現場は忙しく、言われた作業だけに気を配っているわけにはいかないことも多い。だからこそ、少しでも別の可能性を探ることができれば、より効率的に部下を動かすことができる。チームとしての結果もよいものになるかもしれない。
部下の体調を気遣うことも、「情けは人のためならず」ではないが、自分の仕事を助けることになるということだ。
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