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ADMRコラム71 その“サービス”のコストはいくらですか?

 ガソリンスタンドでセルフ方式が珍しくなくなり(2年前の調査で全体の約4割)、飲食店では大手チェーンを中心に注文をタブレットで行い、ロボットが配膳のため店内を動き回るという光景が当り前のようになっている。スーパーでは有人よりも無人レジの方が多いというところも多くなった。


 導入コストはかかっても、ITを駆使してシステム化した方が全体では利益につながるということだろう。それだけ「人を使う」ことの負担が大きくなっている。日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少を続け、昨年は7,372万人だった。2030年には6,773万人まで減少すると予測されている。


 働き手を確保するのが難しくなっているから、給与を上げないといけない。最低賃金は全都道府県で時給1,000円を超えた。さらに働き方改革により、残業についても認識も大きく変わってきた。限られた時間で効率的に働いてもらわないと、会社にとっては採算が合わなくなっているとも言える。


 にもかかわらず、自動車販売店や整備工場では”もったいない業務”が依然として少なくないように見える。社員であれば若い人でも時給2,000円程度はかかる。洗車が15分で終わるとしても、人件費コストは500円。作業以外の移動時間なども含めるともっと高いかもしれない。


 お客様サービスとして無料で提供するのが悪いわけではない。ただ、コストに見合った評価をお客様がしてくれているのだろうか。ディーラーではほぼなくなったが、整備工場の中には納車・引き取りを今でも行っているところがある。2人の社員が必要なことが多く、距離や時間にもよるが人件費は確実にかかる。


 人にかかる経費が膨らんでいる中で、会社の負担は大きくなっている。お客様に「丁寧なサービスでありがたい」「また利用したい」と思ってもらえ、それが最終的に会社の競争力向上や収益拡大につながるという客観的な分析ができているのだろうか。


 最近、サービス入庫時の洗車を500円程度だが有料化するディーラーが出始めている。知り合いに聞くと「物価も人件費も上がっているからやむを得ない」「不要と思ったら断ればいいので、とくに気にならない」と、否定的な意見はほとんどなかった。


 納車・引き取りは一部のお客様から「これをしてくれるから頼んでいる」という声が多いそうだ。その分、全体の料金は高くなりがちたが、お客様が評価して納得してくれれば、メリットはあるのだろう。


 見方を変えれば、お客様が望むサービスであれば、無料でなくても受け入れられるということでもある。周囲との競争もあり、”タダ”でなければお客様が離れてしまうという心配はわかるが、人にかかわるコストの上昇はそれを許さない状況になりつつある。社員が働いただけの「価値」があるサービスとはどういうものなのか、コスト計算、お客様の理解や評価を含め、一つひとつ検証していく必要性が高まっている。


※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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