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ADMRコラム68 「ビギナーズラック」のその後

 10年、20年と経験を積んだベテランを、新人が売り上げで抜いてしまうことがしばしばある。そんな話をタクシー運転手に何度か聞いたことがある。どこに行けば効率的にお客を乗せることができるかとか、知識もノウハウもないから、ひたすらクルマを走らせる。この時間はお客が少ないと必要以上に休憩したり、駅で客待ちすることはしない。「とにかくクルマを走らせること」が思わぬ成果につながるそうだ。「ビギナーズラック」だ。


 ただ、運頼みだけで安定した実績を残し続けるのは難しい。そこで、どの時間にどの地域を走ったらいいか、駅で客待ちをした方がいい時間帯はあるのか、あれこれ考え試してみる。当然、ベテランのようなノウハウはないから、なかなかうまくいかない。初心に帰って、無心で走っても以前のような成果は出ず、あれこれ悩む日が続く。


 自動車販売店に入った営業の新入社員も研修や仮配属を経て、いまちょうど独り立ちを始めた時期だ。「お客様とのやりとりがスムーズにいかない」「商品知識が足りない」など、不安や悩みは尽きないと思う。それでも受注が取れることがあるかもしれない。商談相手が経験の少ない新人だとわかると、気をつかってくれるお客様はいる。お客様が買う気で来ていることもある。さらに先輩や上司がサポートして花を持たせてくれることも考えられる。


 まさに「ビギナーズラック」であり、熱意はお客様に伝わったかもしれないが、商談をうまくコントロールして成約につなげたところまではいっていないのではないか。「運」に「実力」をどうつけていくか、これからが勝負であることは間違いない。だから同期の人が早く結果を出したからといって、まだ受注できていない人が焦ったり、落ち込む必要はない。スタートからあれこれ悩んでいる人の方が、試行錯誤をする中で身に着けられるノウハウがあるはずだ。


 筆者も新聞社の新入社員のときに苦労した。担当によって成果が出にくいところと、新人でもスムーズに入っていけるところの差が大きかった。私の配属は前者で、アポイントもなかなか取れず、同年代の人も含め周囲が忙しそうに働いているのに、やることがない状態がしばらく続いた。その時、別の部署のほとんど会話したこともないベテラン社員から「今、いろいろ苦労しておけば、この後が楽になるよ」と言われた。その時はわからなかったが、別の担当に異動になったときに悩んだ経験がプラスになった実感があった。


 ビギナーズラックは喜んでもいいが、自分の実力と勘違いすると後が大変になる。新人のときに運に恵まれても、そうでなくても、経験を積んでノウハウを少しでも蓄積していくことが大切であり、今後の仕事人生を考えれば半年や1年での「運」に一喜一憂することはない。

※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYouTubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。

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