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ADMRコラム64 「説明したはずですが・・・」のその後
実家の父が、車検に行って怒って帰ってきたと電話してきた。長く乗っている軽トラックで、近年は近くのディーラーで車検を受けている。今回も同じように持ち込んだところ、車検代金を前払いしてほしいと言われたという。これまでそんなことはなく、車検の数日後に支払いに行っていたそうだ。ディーラーの制度が変わり、父親に、事前にハガキやむ電話で説明があったのかもしれない。父親が高齢なので忘れている可能性もある。ただ、その後の担当者の言葉はいかがなものかと思った。
父親が「車検も終わっていないのにお金を払うのか」と聞くと「払ってもらえないと車検ができない」。さらに兄が運転して父を連れて行って、ディーラーの近くで時間をつぶそうとしたいら携帯に電話がかかってきて「今から銀行に行ってお金をおろしてきてくれませんか」と言ったそうだ。父も兄も怒って帰ってきて「あの店には二度と行かない」と言っていた。その後、同じディーラーの別の拠点で予約して車検を受けた。今回の経緯が共有されていたためか当日に料金を請求されることもなく、見積もりを示されて後日、支払ったそうだ。
法定費用の前払いをはじめ、車検費用の支払いは会社によって異なる。そのディーラーではいつ頃からか当日払いが当たり前になっていたのかもしれない。事前に何らかの説明をしていたことも考えられる。忙しい工場のスケジュールをやりくりして予約時間を決めたのだから、料金の説明で手間をかけたくないし、キャンセルされてやり直しになっても面倒だ。だから「すぐにお金を用意してほしい」と言うディーラーの担当者の気持ちはわからないではない。
ただ「説明したはず」「(お客様は)理解しているはず」が、そうでなかった場合、お客様は理屈だけでは納得しないことがままある。ここでは真実がどこにあるかは二の次であり、お客様に「そういうことなら仕方ない」と思ってもらえるかが重要となる。少なくとも「事前に払わなければ車検を受けられない」という言い方では不愉快になる人も多いだろう。「すぐに銀行でお金をおろしてきてください」と言う前に、事前にお知らせしたのに伝わっていなかったとか、事情を説明したうえで「お願いできれば(再度の予約も大変なので)こちらも助かるのですが」といった言い方など、アプローチの手法はいくつかあったのではないか。
カスタマーハラスメントがあちこちで表面化している中で、横暴な客を「選別」することも必要なのは間違いない。ただ、「~したはず」ということで、担当者が柔軟性を欠いた対応をしていては、逃げるはずのないお客様も他社に行ってしまうかもしれない。ちょっとした言葉の行き違いでお得意様を失うのはもったいない。人手が足りず忙しい状態が続いている時だからこそ、お客様への対応の”引き出し”を増やしたい。
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