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ADMRコラム52 「真面目な社員」に伝えたいこと

 前職(新聞社)で中堅社員と呼ばれるようになった頃、新入社員から「取材のやり方のマニュアルはありませんか」と聞かれ、上司と一緒に驚いたことがある。もう20年以上も前のことだ。その新入社員は優秀な大学を卒業しており”勉強”はできたのだろう。教科書や参考書という「マニュアル」を理解することが得意で、真面目に取り組んだ分だけ成果が上がったはずだ。だから取材もマニュアルがあればすぐに対応できると考えたのではないか。


 自動車販売店をはじめ営業もそうだが、人を相手にする仕事は、いくら「想定問答」を用意してもシナリオ通りにはならない。会話を重ねながら相手の個性やニーズを把握して最適な提案を探り当てる。その場での臨機応変な対応が求められるため、最低限の応酬話法などを除けば業務のマニュアル化が難しい。だから経験を積んで相手に合わせた対処方法を身に着けていくしかないのだが、マニュアルを覚え込むことばかりやってくると応用がきかないことに戸惑ってしまう。真面目な人ほどその傾向が強い。


 マニュアルは必死になって理解しようとすれば短期間でマスターできる。しかしノウハウは経験を積み重ねることでしか蓄積できないことが多い。真面目な人はその違いに気づかず、何でもマニュアルで対応しようとするから、少しでも想定外のことがあると対応に苦しむことになる。


 新入社員向けの研修をしている元中学教師の同僚は「メモを取らない人が多い」と言っていた。研修を聞くことに専念していてメモを取る余裕がないからだそうだ。研修内容をすべて覚えるのはほぼ不可能であり、ポイントをメモしないと整理できないのではと聞くと「研修を聞くことが大前提」となっており、内容を理解するのは二の次になっているのかもしれない。研修をきちんと聞くという指示があればそれを最優先する。それくらい「最近の若い人は真面目」なのだそうだ。


 悪いとは言い切れないが、仕事は成果を求められる。言われたこと、決められたことを守っていれば周囲は一定の評価をしてくれるし、人間関係で波風は立たない。しかし研修の目的は、その内容を理解して業務に役立てることであり、懸命に聞いていても自分に応用できることがなければ時間とコストの無駄である。だから、これはというポイントをメモする必要があるのだが、そこまで考えが至らない。


 営業の仕事などは、相手が「答え」を教えてくれるわけではない。マナーなどマニュアルは最低限必要だが、社会人としてスキルを蓄積していくにはノウハウが重要であり、それは真面目に言われた通りに動いているだけでは決して身に着かない。苦手かもしれないが、自分で考えて試行錯誤を繰り返していくことが成長につながる。本人も指導する側もそれを忘れないでほしい。


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