News
新着情報
ADMRコラム㊶ 社員に媚びるだけのES対策でいいのか
年間休日が110日、人によっては115日ない会社は最初から眼中にない。残業はあっても最低限。会社の業績は安定して将来への不安が少ない。もちろん給料は高いに越したことはないが、がつがつ仕事をし、人を押しのけてまで出世しようとは思わない。むしろ管理職は負担が多く、少しくらい年収が増えても積極的になりたいわけではない―。
最近の若手社員や就職希望の学生の働くことへの意識をざっくりまとめると、こんな形となる。こうしたことと無縁でやってきた上の世代からすれば「本当にそうなのか」と疑問に感じることも多いが、そのニーズに対応しないと人が確保できないのが実情のようだ。このため従業員満足(ES)を高めようと会社は必死になる。ともすれば社員に媚びすぎと思われるような取り組みも散見されるが、それだけ「何とかしなければ」という危機感が強いのだろう。
待遇面の充実はもちろん、働きやすい職場環境づくりが重要であることは間違いない。会社は頑張って給料を上げ、若手をはじめ現場の社員が伸び伸びやれるように上司だけでなく別の部署の人が意見を聞いたり、上司から部下への指示が一方通行にならないように工夫もしている。
見方によっては涙ぐましい努力とではある。それでも入社して1年、2年と経つと辞める社員が出てくる。入社3年で3割の離職率が平均と言われているから、ある程度はやむを得ないにせよ、会社にとって痛手であることは間違いない。もっと厳しいのは入社5~10年目の「伸び盛り」「働き盛り」の世代が辞めることだ。その年代の離職率が高い会社はESの取り組みを抜本的に見直した方がいいかもしれない。
ポイントとなるのは「働きがい」や「自己成長」「達成感」ではないか。誰もがうらやむ大手企業でも、この年代で辞めていく人が少なからずいて対応に困っているという話を聞く。 辞める理由は「仕事を通じて成長や達成感が実感できない」という声が多いそうだ。待遇や職場環境には満足している。ただ、目標に向かって苦労しながら必死で頑張り達成感を味わいたい。
「無理をさせない」職場は良いのだが、それだけでは刺激が足りないということだろう。社員の不満を聞くことが悪いわけではない。ただ働きがい、自己の成長などは「目標に向かって困難を克服して達成する」ことでより味わえる。ES向上にその視点が欠けているケースが多いのではないだろうか。社員に媚びるだけがES改善策ではない。
※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYou Tubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。
https://youtube.com/channel/UCqHCBS6u1aYsH4qSjM3MItA?si=zSaDUnfCg8GqMDDA