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ADMRコラム㊵ クルマの価格と負担感

今から40年ほど前、筆者が社会人になった頃、故郷の友人たちはこぞってマイカーを購入した。公共交通機関が不十分な地方都市では日常の”足”としてなくてはならないものだから、クルマはあって当たり前。就職を機に競うように新型車を買っていた。「デートカー」と言われるクルマが出始めた頃で、多くの友人が得意げに乗り回していた。   地方都市ではクルマが生活必需品であることは今も変わらない。若者のクルマ離れと言われるが、必需品だから離れるわけにはいかない。関心は薄くなっても社会人になれば多くの若者がクルマを持つようになる。 ただ、違うのは負担の大きさだろう。当時、ファミリーカーと言われた小型乗用車クラスの価格が100万円から130万円ほど。デートカーも200万円を切る価格で買えた。サラリーマンの平均年収が360万円ほどだったからファミリーカーなら年収の3分の1、デートカーでも半分程度だった。   今はコンパクトカーや軽自動車でも200万円近いものが大半で、当時から比べると2倍とまではいかないが、5割以上は間違いなく高くなっている。安全対策や環境性能、便利機能が格段に向上しているからやむを得ないのは事実だ。しかしサラリーマンの平均年収はこの40年間で100万円ほどしか増えていない(平均約460万円)。 若者に限っていえば、初任給は10万円近く上がっているとはいえ、当時ではなかったスマホやインターネット、ゲームなどにお金がかかる。いずれにせよ新車を購入する際の費用の負担感は当時に比べて大きくなっている。   様々なコストが上昇している。性能を向上させ、便利な機能がなければユーザーに受け入れられないのも事実だろう。誰もが手の届くクルマをつくろうとした「国民車構想」の頃とは時代が違いすぎるとも思う。 ただ、クルマにかけられるお金が増えにくい中で、ユーザーがどうしたら新車に目を向けてくれるかを改めて考える時期に来ているのではないだろうか。サブスクなど、クルマを所有から使用するという提案は可能性が大きい。同時に、価格を抑えた魅力的なクルマが出せないかという期待があるのは、それが日本の自動車メーカーが得意とするところだからだ。 国内市場は5年ほどで現在の470万台規模から400万台を割り、10年後にはピーク時(1990年、777万台)の半数程度に減るとの予測がされている。知恵の絞りどころだ。   ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします。またADMRではYou Tubeで動画配信を行っています。ADMR公式チャンネルはこちらからご覧いただけます。 https://youtube.com/channel/UCqHCBS6u1aYsH4qSjM3MItA?si=zSaDUnfCg8GqMDDA