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ADMRコラム㉗ 仕事へのプライドと給料のバランス

初任給は35万円、40万円、ベースアップは10%―最近までデフレが長く物価も上がらないのが当り前だったのに、ここにきて大手企業を中心に”大盤振る舞い”が相次いでいる。初任給だけ上げて先輩社員はそのままというわけにはいかないので、必然的に全体の給与水準もアップする。社員は収入だけでなくプライドもさぞ満たされることだろう。   自動車販売店や整備業界の経営者にその話を聞くと、どこか「他人事」と受けて止めているように見える。大幅な賃上げに耐えられるだけの利益、資金力がある企業は限られる。その他の多くの会社、経営者からすれば今の段階では現実的な話ではないのかもしれない。 ただ、この状況が続いたらどうなるか。「これ以上、人手が集まらないと会社が回らなくなる可能性がある。資産を取り崩してでも賃金に充てるくらいの覚悟は必要」と危機感をもつ自動車販売店の社長もいる。大手企業だけでなく、自動車流通業でも同業他社が無理してでも大幅な賃上げをしてくる可能性はある。そうなると他人事では済まされなくなる。営業、サービスともに人手が足りない。整備士不足は企業の存続さえ危うくなりかねないほど深刻だ。   とはいえ取り崩す資産があるところはいいが、そこも余力がない会社も少なくない。そうなると企業間格差がさらに広がりかねない。 ある整備工場の社長は「整備士は国家資格を持ち、お客さまの命を守る需要な業務を行っている。だからこそ、もっとプライドを持ってほしい」と言う。一方で整備士不足の要因の一つとして賃金が高くないことを挙げ「プライドを満足させるような給料を出せるだけの利益」があげられない現実を指摘する。競合他社もあり、自社だけ整備料金を大きく上げて収益を確保することは難しい。   仕事の満足度はお金だけがすべてではないのは事実だろう。しかし初任給が大手企業と10万円以上の差がついたらどうだろうか。同業者にも大手並みの会社が出てきたら自社の魅力をどうアピールしていくのか。プライドに見合った給料を確保するために、ユーザーに作業の重要性をきちんと説明し理解してもらう努力はもちろん、価格競争にばかり目を向ける状態から脱却することが求められているのは間違いない。自動車流通にかかわる経営者が「プライドと給料のバランス」を保つために何が必要か、今こそ本気で考えるべきではないだろうか。   ※このコラムは毎週水曜日に掲載いたします